会社をたたむと決めたとき、考えるべきことは2つあります。会社の破産手続そのものと、代表者個人の保証債務をどう処理するかです。

会社が破産しても、代表者の連帯保証は消えません。多くの場合、会社の破産と同時に代表者個人の債務整理が必要になります。ここで「代表者も一緒に破産」と決めてしまう前に、経営者保証ガイドラインによる整理(解説はこちら)が使えないかを検討する価値があります。

そして、どちらの道を選べるかは、相談に来られた時点で会社と代表者の手元にどれだけ資金と時間が残っているかで決まります。

こんな状況なら、ご相談ください

次のうち一つでも当てはまれば、相談のタイミングです。「まだ早い」と感じる段階が、最も選択肢の多い段階です。

法人破産で何が変わるか

弁護士に依頼すると、まず債権者に受任通知を送ります。この時点で、債権者からの督促や取り立ては弁護士宛てに切り替わり、代表者に直接連絡が来ることはなくなります。

破産手続が開始されると、裁判所が選任した破産管財人が会社の財産を換価し、債権者に配当します。手続が終わると会社は消滅し、会社の債務も会社とともに消えます。従業員は、未払いの給料について国の未払賃金立替払制度を使えるようになります。

代表者個人については、保証債務の処理が別に必要です。これを同時に設計することで、代表者は会社の清算と自分自身の再出発を一つの流れとして進められます。

代表者個人の債務は、2つの道に分かれる

会社が破産するとき、代表者の保証債務を処理する方法は大きく2つです。

代表者も自己破産経営者保証ガイドライン
手続裁判所の破産手続。管財事件になる裁判所を通さず、金融機関全員の同意で保証債務を免除
残せる資産99万円以下の現金と生活必需品一定期間の生活費(最大約360万円)と、華美でない自宅を残せる可能性
信用情報5〜7年は登録される登録されない
裁判所の予納金50万円程度不要(特定調停を使う場合は印紙代程度)
向いている人保証債務以外の借金が多い、残す資産がない自宅など守りたい資産がある、誠実に対応してきた

どちらが現実的かは、代表者個人の借入の一覧と資産の状況を聞けば、初回相談でおおむね判断できます。詳しくは法人破産と経営者保証ガイドラインの分かれ道をご覧ください。

手続の流れ

  1. ご相談・現状の把握

    会社の債務と資産、資金があと何か月持つか、従業員の人数、代表者個人の借入と資産を確認します。事業を続ける道があるかも含めて検討します。

  2. 方針の決定・ご依頼

    会社の破産と、代表者個人の処理方法(破産か経営者保証ガイドラインか)を決めます。費用の見積りを書面で提示します。

  3. 事業停止日の決定と準備

    給料日や入金日を踏まえて事業を止める日を決め、その日までに従業員への説明、解雇、最後の給料と予告手当の支払い、事業所の明け渡しの段取りを組みます。

  4. 事業停止・受任通知の発送

    事業を停止し、債権者に受任通知を送ります。以後、債権者からの連絡は弁護士が受けます。従業員の離職票や社会保険の手続もこの時期に進めます。

  5. 破産の申立て

    財産目録、債権者一覧、帳簿類を整えて裁判所に申し立てます。代表者個人の申立ても同時に行います。

  6. 破産管財人の調査・債権者集会

    裁判所が選任した管財人が財産を調査・換価します。代表者は管財人との面談と債権者集会への出席が必要です。

  7. 手続の終了・免責

    会社は消滅し、代表者個人は免責を受けて債務から解放されます。調査事項がなく第1回の債権者集会で終わる事件なら、申立てからおおむね3か月です。

費用の目安

法人破産の費用は、裁判所に納める予納金と弁護士費用の2つでできています。

項目会社代表者個人
裁判所への予納金最低20万円。事案により数十万〜100万円超50万円程度
弁護士費用(税込)88万円〜別途。同時に進める場合は総額を見積り

会社と代表者を合わせると、最も小規模な事案でもおおむね200万円前後が目安です。この費用は会社に残っている資金から捻出するのが原則で、資金が尽きてからでは申立てができません。詳しくは弁護士費用のページと法人破産の費用はいくらかかるかをご覧ください。

申立ての前に、やってはいけないこと

良かれと思ってした行動が、破産手続で問題になることがあります。次の行動は、相談の前に止めてください。

破産管財人の経験を、申立てに活かします

私は弁護士2年目から現在まで、継続して破産管財人に選任されています。管財人が申立書のどこを見るのか、どんな準備があれば調査が確認作業で済むのかを、手続を運営する側として知っています。

申立ての準備では、管財人として自分が受け取ったときに「これなら確認だけで済む」と思える申立書を目指します。その差が、手続の期間と代表者の負担を分けます。詳しくは破産管財人はどこを見ているのかで解説しています。

よくある質問

会社だけ破産して、社長は破産せずに済みますか

済む場合があります。経営者保証ガイドラインを使えば、金融機関への保証債務を破産せずに整理できます。ただし、保証債務以外の個人の借金が多い場合や、守りたい資産がない場合は、破産の方が早く確実です。初回相談で見通しをお伝えします。

取引先に迷惑をかけたくないので、先に払っておいてよいですか

止めてください。支払いが止まる前後に特定の相手にだけ返済すると、破産手続で管財人が相手方に返還を求めることになり、かえって取引先を困らせます。迷惑をかけたくない相手がいるときほど、先に相談してください。

従業員の給料はどうなりますか

資金が残っていれば、最後の給料と解雇予告手当を事業停止日に支払います。払えない分は、破産手続の中で優先的に支払われるか、国の未払賃金立替払制度で未払額の8割が支払われます。この制度は破産の申立てが前提になるため、放置せず申し立てることが従業員を守る手続になります。詳しくは従業員の給料が払えなくなったときの会社のたたみ方をご覧ください。

相談したら、すぐ破産することになりますか

なりません。事業を続ける道があるなら、それを優先します。初回相談の役割は、あと何か月持つのか、その間に何ができるのかを整理することです。続けられないと判断したときに「費用がなくて破産もできない」という状態だけは避けるために、早い段階で一度お聞かせください。

北九州以外でも対応できますか

福岡県内全域に対応しています。事務所は北九州市小倉南区(モノレール城野駅から徒歩5分)にあり、福岡市やその他の地域からのご相談もお受けしています。

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