法人破産

公開日:2026/8/24|執筆:弁護士 末安陸斗

会社をたたむしかないと分かってきた。しかし破産にいくらかかるのか、その費用をどこから出すのか、見当がつかない――法人破産の相談で、最初に聞かれるのはこの点です。

法人破産の費用は、裁判所に納める予納金と弁護士費用の2つでできています。会社と社長個人を合わせると、最も小規模な事案でもおおむね200万円前後が目安になります。この金額を見て「払えない」と感じた方ほど、費用が払えなくなる前に動く必要があります。

費用は「裁判所に納める予納金」と「弁護士費用」の2つ

法人破産にかかる費用の内訳は、次のとおりです。

このうち金額が大きく、事案によって幅が出るのが予納金と弁護士費用です。順に説明します。

予納金は、会社で最低20万円、社長個人で50万円程度

予納金は、裁判所が破産管財人を選任するための費用として、申立て時に納めるお金です。管財人の報酬や、財産の調査・換価にかかる経費がここから支払われます。

会社の破産では、最低でも20万円です。負債の総額や債権者の数、財産の調査にどれだけ手間がかかるかによって裁判所が決めるため、事案によっては数十万円から100万円を超えることもあります。たとえば、不動産や在庫が多く換価に時間がかかる、債権者が数十社に及ぶ、帳簿が整っておらず調査が必要といった事情があると、予納金は高くなります。

見落とされがちなのが、社長個人の分です。会社が破産するとき、連帯保証をしている社長も多くの場合、同時に自己破産を申し立てます。社長個人の破産は管財事件として扱われるため、こちらも予納金として少なくとも50万円程度を見込む必要があります。

会社と社長を合わせて、予納金だけで最低70万円。これが出発点です。

弁護士費用は、会社と社長個人で別に必要になる

弁護士費用は事務所によって異なります。当事務所では、法人破産の弁護士費用を88万円(税込)からとしています。債務総額・債権者数・資産の状況によって作業量が大きく変わるため、この金額は下限の目安です。

社長個人の破産は、法人とは別の手続として申し立てます。そのため弁護士費用も別に必要です。当事務所の個人の自己破産は55万円(税込)ですが、会社と同時に進める場合の総額は、初回相談時に状況を伺ったうえで書面でお見積りします。見積りの提示までに費用はかかりません。費用の一覧は弁護士費用のページにまとめています。

予納金と弁護士費用を合わせると、会社と社長個人で最も小規模な事案でもおおむね200万円前後。これが、法人破産を「やりきる」ために必要な資金の目安です。

費用は「会社に残っている資金」から出すのが原則

200万円という数字を見て、「そんな金は会社にない」と思われたかもしれません。

法人破産の費用は、会社に残っている預金や、売掛金の回収、在庫や車両の売却代金から捻出するのが原則です。申立ての準備のために弁護士費用や予納金を会社の資金から支払うことは、適正な金額であれば破産手続上も正当な支出として扱われます。

つまり、会社に資金が残っている段階であれば、費用の問題は解決できます。残っていなければ、解決できません。

資金が尽きてからでは、申立てそのものができない

相談に来られる社長の多くが、「もう一度融資を受けて、それでもダメなら破産する」と考えています。しかしこの順番では、破産する段階で会社の資金はゼロになっています。

予納金が納められなければ、裁判所は破産手続を開始しません。弁護士費用が払えなければ、申立ての準備も進みません。結果として、会社は破産もできず、放置されることになります。

放置された会社に起きることは、次のとおりです。債権者からの督促と訴訟が続く。従業員の未払給料は、国の立替払制度を使うにも破産の申立てが前提になるため、制度を使えない。税金と社会保険料の滞納は膨らみ続ける。そして社長は、連帯保証した数千万円の債務を抱えたまま、個人の破産費用すら出せない状態に置かれます。

「破産にはお金がかかる」という事実を知らなかったために、破産すらできなくなる。これは、法人破産の相談で最も避けたい結末です。

「あと数か月」の資金があるうちに相談する

費用の問題を解決する方法は、一つしかありません。資金が残っているうちに相談することです。

目安は、あと数か月分の運転資金が残っている段階です。この時点であれば、破産の費用を確保したうえで、従業員の最後の給料と解雇予告手当を支払い、事業所の明け渡しやリースの返却まで含めて段取りを組めます。社長個人についても、破産ではなく経営者保証ガイドラインで自宅を残す道を検討できます。

相談に来たからといって、その場で破産が決まるわけではありません。事業を続ける道があるならそれを優先します。ただ、続けられないと判断したときに「費用がないから破産もできない」という状態だけは避けなければなりません。その見極めをするのが初回相談の役割です。

初回相談は30分無料です。会社の預金残高、月々の支出、売掛金の見込みが分かるものをお持ちいただければ、あと何か月持つのか、その間に何を準備すべきかを整理してお伝えします。LINE またはフォームからご連絡ください。

会社の破産で社長個人がどうなるかについては、こちらの記事で解説しています。

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