個人の債務整理

公開日:2026/8/28|執筆:弁護士 末安陸斗

「任意整理 自己破産 どっち」と検索している時点で、あなたはすでに「このままでは返せない」ことに気づいています。あとは、どちらの出口を選ぶかです。

分かれ目は、シンプルに言えば一つです。利息をゼロにした元本を、3〜5年で返し切れるか。 返し切れるなら任意整理、返し切れないなら自己破産(または個人再生)が基本の考え方になります。この記事では、その判断のしかたを具体的に説明します。

まず、自分で計算してみてください

任意整理は、弁護士が各社と交渉して将来の利息をカットし、元本だけを3〜5年(36〜60回)の分割で返す手続です。つまり、返す総額は「今の元本の合計」です。

そこで、次の計算をしてみてください。

借金の元本の合計 ÷ 60回 = 毎月の返済額

元本の合計が180万円なら、60回払いで月3万円。240万円なら月4万円です。この金額を、今の収入から家賃・食費・光熱費を払ったうえで、5年間、ボーナスをあてにせず払い続けられるか。 払えるなら任意整理が現実的です。ぎりぎりで払えるかどうか、という水準なら、任意整理を選ぶべきではありません。5年の間には、病気も転職も出費もあるからです。

任意整理と自己破産の違い

任意整理 自己破産
借金はどうなる 将来の利息がゼロに。元本は全額返す 支払義務が免除される
裁判所 使わない 使う
家・車 残せる(ローン中の車は対象から外せる) 原則、価値のある財産は処分
保証人付きの借金 対象から外して保証人を守れる 全債権が対象。保証人に請求が行く
家族に知られずに 進められる場合がほとんど 同居家族には知られる前提
資格制限 なし 手続中の数か月のみ一部の資格に制限
信用情報 5年ほど登録 5〜7年ほど登録
弁護士費用(税込) 1社あたり5万円 55万円(+ 裁判所の費用)
期間 交渉に数か月、その後3〜5年の返済 3〜4か月〜(管財事件は半年以上)

任意整理の利点は「守れるものの多さ」、自己破産の利点は「返済がゼロになること」です。どちらが優れているかではなく、あなたの元本と収入がどちらに向くかで決まります。

任意整理を選んではいけない3つの場合

任意整理は負担が軽く見えるため、本来は破産すべき状況でも「まず任意整理で」と考えがちです。しかし、次の場合に任意整理を選ぶと、数年後により悪い形で破綻します。

元本が大きすぎる場合。 月々の返済可能額×60回が元本に届かないなら、交渉しても完済できません。無理な和解を結んで途中で払えなくなると、残額を一括請求され、結局は破産することになります。最初から破産していれば払わずに済んだ数年分の返済が、無駄になります。

収入が不安定な場合。 任意整理は「和解どおり払い続けること」がすべてです。収入が月によって大きく変わる方、雇用が不安定な方は、返済計画自体が成り立ちにくいです。

すでに滞納して一括請求や訴訟が来ている場合。 長期の滞納後は、業者が分割和解に応じにくくなり、遅延損害金の減免交渉も難航します。この段階では、破産や個人再生を軸に考える方が現実的です。

「破産だけは避けたい」という思い込みが、判断を狂わせる

自己破産には根強い誤解があります。実際には、生活に必要な家財と99万円以下の現金は残せます。破産後に働いて得た給料は全額あなたのものです。選挙権はなくなりませんし、戸籍にも載りません。会社に知られることも通常なく、解雇の理由にもなりません。

一方で、家族に知られずに進めることは難しく、保証人付きの借金があれば保証人に請求が行きます。財産の処分や、ローン中の車の引き揚げもあります。失うものは確かにありますが、それは「これからの人生」ではなく「今の債務と一部の財産」です。詳しくは個人の方の債務整理のページで解説しています。

「破産だけは絶対に嫌だ」という前提で無理な任意整理を組むことが、結果として一番高くつく。この点だけは、いくら強調してもし過ぎることはありません。

中間の選択肢:個人再生

元本を返し切るのは無理だが、自宅は残したい。そういう方には、住宅ローン以外の債務を5分の1程度まで圧縮する個人再生という中間の手続があります。自宅を守りながら、返す額を任意整理より大幅に減らせます。継続的な収入があることが条件です。

任意整理か破産かの二択で行き詰まったら、この第三の道も含めて検討します。

迷ったら、この基準で考えてください

そして、この判断は借金の総額・利率・財産・家族構成で変わるため、最終的には個別の検討が必要です。初回相談は30分無料です。借入先と残高が分かるものをお持ちいただければ、上の計算をその場で一緒に行い、どの手続が現実的かをお伝えします。LINE またはフォームからご連絡ください。

家族に知られずに進められるかはこちらの記事、依頼した日に督促が止まる仕組みはこちらの記事で解説しています。

初回相談30分無料

債務のご相談は、早いほど選べる手段が多く残っています。秘密は厳守します。

相談フォームで予約するLINE で相談する