公開日:2026/8/27|執筆:弁護士 末安陸斗
何年も前に払えなくなって、そのままになっていた借金。忘れかけていた頃に、突然「債権譲受通知」「法的手続移行のお知らせ」といった督促状が届く。金額は利息と遅延損害金で、借りた覚えのある額の倍以上に膨らんでいる――。
まず、慌てて電話をかけないでください。その借金は、時効の援用によって支払義務を消滅させられる可能性があります。そして、督促状を送ってきた側は、あなたが電話をかけてくることで時効を消せることを知っています。この記事では、時効が成立する条件と、やってはいけないこと、援用の手続を説明します。
消費者金融やカード会社は、回収できなくなった債権を債権回収会社(サービサー)に譲渡することがあります。見覚えのない会社名で督促状が届くのはこのためです。督促状に「譲受人」「承継」といった言葉があれば、このパターンです。
そして、譲り受けた側が何年も経ってから督促を再開するのは、珍しいことではありません。長期間放置された債権ほど、時効の問題を抱えています。だからこそ、督促状には「今なら分割払いに応じます」「まずはお電話ください」と、あなたに連絡させる文面が並んでいます。
貸金業者やカード会社からの借金は、原則として、最後に返済した日(または返済期日)から5年で消滅時効にかかります。信用金庫からの借入や奨学金など、10年になる場合もあります。
ただし、期間が過ぎれば自動で消えるわけではありません。「時効を援用します」と債権者に意思表示をして、初めて支払義務が消滅します。これが時効の援用です。
注意が必要なのは、5年の数え方がリセットされている場合があることです。次のときは時効が「更新」され、そこからあらためて数え直しになります。
督促状が届いた時点では、時効が成立しているかどうかは外からは分かりません。だからこそ、次の点が重要になります。
3つ目の「承認」が、この記事で一番伝えたいことです。
電話をかけて「すぐには払えませんが、少しずつなら」と言う。「今月末まで待ってください」と頼む。督促に応じて1,000円だけ振り込む。これらはすべて債務の承認にあたり、その瞬間に時効は更新されます。成立していたはずの時効が使えなくなり、膨らんだ全額について支払義務が確定するのです。
督促する側はこの仕組みを知ったうえで、電話を促し、少額の入金を提案してきます。「まずは1,000円だけでも」という提案は、親切ではありません。
督促状が届いたら、連絡せず、支払わず、書類を捨てずに、そのまま弁護士に相談してください。
督促状を放置していると、訴訟や支払督促を起こされることがあります。裁判所から書類が届いた場合、対応を間違えると結果が正反対になります。
無視して放置すると、相手の主張どおりの判決が出て、時効は更新され、そこから10年間、給料や預金の差押えが可能な状態になります。時効が成立していたはずの借金でも、です。
一方、答弁書で時効の援用を主張すれば、裁判の中で支払義務の消滅が認められます。裁判所からの書類は、ピンチではなく時効を主張する機会です。同封の答弁書の提出期限があるので、届いたらすぐにご相談ください。
時効の援用は、口頭でも法律上は可能ですが、「言った・言わない」を残さないために、配達証明付きの内容証明郵便で行うのが確実です。当事務所にご依頼いただいた場合の流れは次のとおりです。
費用は1社あたり3万円(税込)です。調査の結果、時効がまだ成立していないと分かった場合は、任意整理など別の解決方法をその場でご提案します。膨らんだ遅延損害金を減額して分割払いにする交渉も可能です。
時効の援用が有効に成立すると、その借金の支払義務は消滅します。督促は止まり、以後請求されることはありません。
信用情報については、援用後にその借入の事故情報が削除・整理される扱いが一般的で、いわゆるブラックの状態が解消に向かうことが多いです。ただし、その債権者のグループ会社から新たに借りることは難しくなります。
督促状には、最後の返済日や債権の経緯など、時効の判断に必要な情報が詰まっています。封筒も含めて捨てずに、届いたままの状態でお持ちください。
初回相談は30分無料です。督促状を見れば、時効の可能性があるかどうかはその場でおおむね判断できます。電話をかけてしまう前に、LINE またはフォームからご連絡ください。
督促を止める仕組みそのものについては、借金の督促を今すぐ止める方法で解説しています。
債務のご相談は、早いほど選べる手段が多く残っています。秘密は厳守します。