コロナ禍の破産件数
東京地裁本庁の破産申立件数は、2020年、2021年と大きく減少し、2021年は24年ぶりに8000件を下回ったということです。
特に顕著なのが法人破産の減少で、金融機関による実質無利子・無担保融資や持続化給付金、雇用調整助成金等のコロナ関連の各種補助金によって、企業の資金繰りが支えられたためと分析されています。
また、個人破産についても、各種助成金や社会福祉協議会による貸付けの拡大によって、破産が抑制されたものと考えられています。
全国的にも、2021年の法人破産は10%以上の減少、個人破産は5%程度の減少となり、破産する企業や人は明らかに減っていると言えます。
しかし、コロナによって経済活動が抑制され、海外との往来も制限されていたのですから、経済的なダメージは大きかったはずで、潜在的な破産予備軍は増加しているのではないかと思われます。
当事務所でも、最近は、持続化給付金の受給や社会福祉協議会からの借入のある人の自己破産を受ける機会が多くなってきました。
補助金や融資が切れ、コロナ禍が落ち着いて経済活動が戻ったころに、潜んでいた多重債務問題が噴出する可能性もあると考えています。
持続化給付金等の不正受給
コロナ禍で大きな問題になったのが持続化給付金をはじめとする各種補助金の不正受給です。
簡易迅速に補助金を支給しなければならない緊急事態ということで、比較的簡単に支給を受けることができました。
そのため、確定申告書を偽造したり、売上台帳の数字を捜査して補助金を申請する例が問題になり、検挙された例も多数存在します。
現在、多重債務に苦しんでいる方の中にも、不正受給に手を染めてしまい、自己破産するとばれるのではないかと不安に思われて、決断できずにいる方もいるかもしれません。
まずは弁護士に相談してみてください。不正受給とは言えないのに、不正受給ではないかと悩んでいる方もいるようですし、仮に、不正受給だとしても、自主的返金を受け付けている場合もあります。