任意整理の支払期間
任意整理では、通常、5年(60か月)の分割和解をします(※一部の業者は3年(36か月)分割しか応じてくれなかったり、7年(84か月)やそれ以上の和解に応じてくれる場合もあります。)。
しかし、将来金利はカットするものの、5年間も滞りなく返済を継続するのは予想以上に大変です。
しかも、任意整理をすることによって、新たに借入をしたり、クレジットカードを利用したりすることはできなくなりますから、それまでのように、返済した枠で新たに借りて生活を維持するというわけにはいきません。あくまで自身の収入だけで、最後まで返済し切る必要があります。
5年の間に、収入が減少したり、臨時支出が必要になることもあるでしょう。家計に十分な余裕がなければ、そういった事態に対処することはできないので、任意整理をする場合は、家計を慎重に分析する必要があります。
途中で挫折したら?
任意整理では、通常、2回分滞納したら期限の利益を失うという和解を取り交わします。「期限の利益」とは、分割払いできる権利のことです。したがって、途中で挫折したら一括請求がくるのです。
当然、一括では支払うことができないので、その時点で自己破産をせざるを得ません。そうなると、それまで任意整理で頑張って支払ってきたことは、すべて無駄になってしまいます。最初から自己破産していれば良かったと言う人を、これまでに何人も見てきました。
したがって、最後まで確実に返済し切ることができるという確信がない限り、任意整理は選択しない方が良いでしょう。
自己破産を正確に理解しよう
自己破産するべきなのに、任意整理を選択してしまうのは、自己破産に対する漠然とした不安があるからです。しかし、手続を正確に理解すれば、ほとんどの場合は、自己破産に大きなデメリットはありません。借りたものである以上返済したいといった心情的な理由で自己破産を避けると、結局、根本的な問題解決を遠ざけてしまうことになります。
また、勤務先や友人・知人など、迷惑を掛けられないところからお金を借りていることで、自己破産が選択できない人もいます。しかし、勤務先や友人・知人からお金を借りている人は、既に、任意整理では到底返済できないような状態になっている人が多く、迷惑を掛けてでも自己破産を決断するべき場合が多いと言えます。